【第2回】相続人って誰?——家族関係と法律の“意外なズレ”

■ はじめに

相続の手続きは、
「誰が相続人なのか」を確定するところから始まります。

しかし、ここで思わぬ“ズレ”が起きることがあります。

  • 「長男だから全部引き継ぐと思っていた」
  • 「再婚相手の子は相続人?」
  • 「疎遠になっていた兄弟も相続人になる?」

実際、法律上の相続人と、ご家族が“なんとなく”思っている相続人が違っていることは、珍しくありません。

今回は、初心者向けにやさしく、
**「相続人の基本ルール」**を整理していきます。

■ 1. 法律で決まっている「相続人」の順位

相続人には、法律で明確に順位が決められています。
これを**法定相続人(ほうていそうぞくにん)**と呼びます。

● 常に相続人になる人

**配偶者(夫・妻)**だけは、常に相続人。
※内縁関係(籍の入っていない事実婚)は対象外です。

● 第1順位:子ども

子どもがいる場合、子どもが相続人になります。
※養子も“実子と同じ扱い”です。

子どもが亡くなっている場合は、その子(孫)が代わりに引き継ぎます。
これを**代襲相続(だいしゅうそうぞく)**といいます。

● 第2順位:父母(いない場合は祖父母)

子どもがいない場合、亡くなった方の父母が相続人になります。

● 第3順位:兄弟姉妹

子どもも父母もいない場合に登場。
※兄弟が亡くなっている場合は、甥・姪が代わりに相続することがあります。

■ 2. よくある「思い込み」との違い

◆思い込み①:長男が優先される?

法律に“長男が優先”という規定は一切ありません。
きょうだいは全員同じ立場です。

◆思い込み②:同居していた人が優先される?

同居の有無で優先順位は変わりません。
ただし介護などの事情が協議で考慮されることはあります。

◆思い込み③:再婚相手の連れ子は相続人?

養子縁組がなければ相続人ではありません。
“家族として暮らしていても、法律上は赤の他人”
ということが起こり得ます。

◆思い込み④:疎遠な兄弟には関係ない?

疎遠でも相続人です。
連絡が取れなくても、法的には手続きに関わります。

■ 3. 家族関係が複雑なケースほど注意が必要

相続人を確定する際、実務上とくに注意が必要なのは次の3パターンです。

◇① 再婚・前婚の子どもがいる家庭

前妻・前夫とのお子さんは、
現在の家族と関係なく相続人になります。

戸籍をたどると突然「前婚の子」が現れることも珍しくありません。

◇② 養子縁組(普通養子・特別養子)

  • 普通養子:実親と養親の両方で相続権が発生
  • 特別養子:実親との関係が断たれる

家庭ごとに事情が異なるため、専門家によるチェックが効果的です。

◇③ 兄弟姉妹が相続人に入るケース

子なし・父母なしの場合に発生しますが、
ここでトラブルが起きやすい最大の理由は、

「兄弟間で連絡が取れない」
「疎遠で、財産内容を共有しづらい」

などが多いからです。

■ 4. 相続人を確定するために必要な書類

相続人を確定するには、
亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍を集めます。

これが非常に大変で、
最も時間と労力がかかる作業です。

必要になるのは次の書類です:

  • 本籍地の「戸籍謄本」
  • 「改製原戸籍」(古い形式の戸籍)
  • 「除籍謄本」
  • 相続人の戸籍謄本
  • 住民票や附票 など

「こんなに集めるの?」と思われる方も多いのですが、
これは**“誰が相続人かを正確に確定するため”の法律上の手続き**です。

■ 5. 相続人調査が遅れるとどうなる?

相続人が確定しないと、次のような問題が起こります。

  • 預金の解約ができない
  • 不動産の名義変更ができない
  • 相続税の申告が遅れる可能性
  • 見落とした相続人が後から請求してくる
  • 相続人の1人が反対して手続きが止まる

つまり、
相続人の確定=相続手続きの“スタートライン”
です。

■ 6. 行政書士に依頼するメリット

戸籍の収集は、慣れていない方ほど負担が大きく、

  • どこに請求すればいいか分からない
  • 本籍が全国に散らばっている
  • 古い戸籍が読めない
  • 亡くなった方の出生地が不明

といった理由で止まることが多い業務です。

行政書士なら:

  • 相続人調査を一括で代行
  • 必要書類の不足を防止
  • 法定相続情報一覧図を作成
  • 遺産分割協議書まで一貫サポート

スムーズに“次のステップ”に進めるお手伝いができます。

アンジュ行政書士事務所でも、
状況をお聞きした上で、最短ルートを整理してご案内します。

■ 7. 次回予告:第3回「相続財産とは?」

相続財産には、
預貯金や不動産だけでなく、さまざまなものが含まれます。

  • え、これも相続財産なの?
  • 借金はどうなる?
  • マイナスの財産が多い場合は?

次回は、初心者が最も誤解しやすい
**「相続財産の種類と調べ方」**をわかりやすく解説します。

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安土珠里
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